凧が絡む理由【SKPニュースレターから】

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さっかーせんせい日記では、さっかーせんせいがご家庭に出しているおたよりから載せることがあります。直近のものだったり、アーカイブだったり、不定期ですが気が向いたら読んでみて下さいね。今回はSKPに遊びに来てくれたご家庭にお出ししているニュースレター「よしよしそれでいい大丈夫!」の直近のものです。

 

『凧が絡む理由』

日、園児が凧をあげに近隣の公園(と言いましてもバスに乗って行ってきましたが)に凧あげに行ってきました。幼稚園のクリスマス会でサンタさんからプレゼントされた凧に、銘々好きな絵を描いてきて、そのお気に入りの凧を持って意気揚々とバスに乗り込みます。どの子からも「よーし、高くあげるぞぉ」の意気込みが伝わってきます。

当日はさほど風もなく、凧をあげるには思いきり駆けなければなりませんでした。広い公園とは言え、80名の年長児が長い凧糸を引いて縦横無尽に駆け回るわけですから、凧糸が絡まないわけがありません。あちこちで絡んだ糸をほどくのに苦戦している先生方の姿がありました。

大人から見れば、もっと周りを見て人のいない方に向かって走ればいいのにと思ってしまいますが、凧をあげることに夢中になっている子どもたちにはそれは無理からぬことと言ってよいでしょう。けれども、“夢中”以外にも理由があるのです。

 

れはズバリ、この年代の子は「自己中心」的であるから。

 

自己中心的というと、大人であればジコチューとか言い、ネガティブな性格として取られがちですが、幼児期の自己中心的というのは発育発達上、誰しもが通るものと言っても過言ではないでしょう。

 

えばサッカー。この年代のサッカーの特徴として、みんながボクとボールの関係でボールを追います。本当にジコチューなサッカーです。チームでサッカーをしても自分とボールの関係しかないわけですから、同じチームであろうと仲間のボールを取りに行ってしまうのです。ですから、大勢の人数でボール一個を使いサッカーをすると、みんなが「ボクとボール」「ワタシとボール」になるので、ひとつのボールに集まってしまい、いわゆる“お団子サッカー”という現象が生じるのですね。

こうした幼児期の発達上の特性を知っていれば、お団子サッカーになろうとも、「ほら、お団子になってるとボールに触れないよ!離れて、離れて!」といった余計な口出しをせずに、逆に「よしよし。キミたちはちゃんと育っているな」とあたたかく見守っていられるというものです。

 

も同様です。「オレと凧」の関係性しかないわけですから、他の子がどこにいようと、どこを走っていようとお構いなしに自分の凧をあげようとするので糸が絡まってしまうのです。これも「よしよし」と目を細められますが、先生が糸をほどくのに苦労してしまうのには変わりはないのですがね。

 

とはいえ、いつまでも自己中心的な行動や活動をしていては、それがその子の規範となり大人になってからそれこそ自分のことしか頭にない人物になってしまいます。幼稚園での様々な人(子ども同士、子どもと先生等)との関わりや協働を経験したりすることで、少しずつ少しずつ相手の存在を認め、相手の意見や考えに耳を貸し、受け入れ、自分の思いを伝えていくと同時に周囲と良好な関係を築いていくという成長の礎を自ら育てていくのですね。

 

凧あげで走りに走った子どもたち、「せんせえー、暑い~」「せんせえー、喉かわいた」「せんせえー・・・」「せんせえー・・・」ここでもジコチュー大いに発揮です(笑)

byさっかーせんせい